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2024/09/03

建設トップランナーフォーラム「DXが地域建設業の未来を拓く」G

 中和コンストラクションは、1962年に奈良県桜井市で創業した総合建設会社。公共土木・建築、民間建築、木造一戸建て住宅などを手掛けている奈良県全域を中心とした地域建設業だ。「無人化施工への挑戦は、2011年9月に発生した紀伊半島大水害の災害復旧工事に携わったことがきっかけ」と大浦晃平社長は振り返る。
 同社が施工を担当する奈良県十津川村の栗平地区では、大規模な深層崩壊により崩落した土砂が河道を閉塞(へいそく)し天然ダムを形成。同災害では最大の崩壊土砂量の現場で、「肉体的にも精神的にも非常に過酷な現場」だった。
 さらに17年には、台風21号による被害で、崩壊の恐れがある狭隘(きょうあい)な河床での掘削や根固めブロックの据え付け作業が発生し、重機の墜落転落や地山の土砂崩壊災害の防止による安全対策が求められた。これらに対応するため、分解対応型バックホウを国土交通省近畿技術事務所から借用し、無人化施工による対策工事を行うことになった。重機オペレータは、安全な遠隔地から無人化施工機械をジョイスティック型のコントローラーとハイビジョンモニターを用いて施工した。
 2度目の無人化施工では前回の経験を踏まえ、「映像や視覚面の強化と操作環境の改善の対策を行い、施工効率の改善にも取り組んだ」。計5台の無人化施工重機を同時に稼働。操作環境は、オペレータが慣れている搭乗操作に近い運転席型の操作レバーの環境を構築。また、走行時・旋回時・掘削積込時それぞれの効率性・正確性・安全性についてオペレータへのトレーニングを約1カ月間実施した。
 これら2件の無人化施工の経験から、新たに「少子高齢化に対応した無人化施工」に挑戦している。大規模土工事を対象に開発が進む建機施工の遠隔化・自動化・省力化技術を中小規模土工でも活用できるよう、建機遠隔化・自動化技術の汎用性・簡便性・量産性を向上。平常時・災害発生時に対応可能なレベルの省人化施工サービス(遠隔化・自動化)を技術面・事業面で構築し、社会実装に向けた検証を実施している。
 国土交通省のイノベーション創出を促進するための制度(SBIR制度)の「災害に屈しない国土づくり、広域的・戦略的なインフラマネジメントに向けた技術の開発・実証」分野に23年度に応募し、採択された。
 今後の目標は、建機遠隔・自動化事業をいち早くローンチさせ、事業開発プロダクトの「他機種対応後付け遠隔操縦システムRemoDrive(OPERA対応)と他機種通信規格プラットフォームを中心に工種・機種を選定し、建機遠隔操縦事業を創出する。
 大浦社長は「中小規模の建設事業者における現場労働力不足の問題は、災害対応のみならず一般土工・インフラメンテナンスなど、国土づくりにおける日常業務の喫緊の課題」とし、無人化施工に挑戦し続ける。
(地方建設専門紙の会・建通新聞社)