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2024/08/27

建設トップランナーフォーラム「DXが地域建設業の未来を拓く」F

 金杉建設(埼玉県春日部市)の吉川祐介代表取締役社長は、地域建設業に求められるDXについて、ICTの内製化とチルトローテータの導入の2つをポイントに挙げた。現在は、各省庁や自治体から補助金、税制優遇などがあるが「こういった状況がいつまでも続くとは思えない。他社に先んじて自社保有機械のチルトローテータの搭載率を上げることが今、取るべき戦略」との考えを明らかにした。
 同社にはインフラDX推進室がありICTを内製化。例えば多種多様な測量機を自社保有している。ドローンなどを外注だと、一発で測量を仕上げる必要がある。自社保有ならば、要するのは人件費だけ。築堤の芝張りでは5回に分けて測量、確認が取れた場所から随時芝張りに入り工程の短縮が図られた。
 また、スラムライダーやスラムレーザー、GNSSローバー、斜めローバーなどで計測時間も短縮。空からドローン、水中はマルチビームソナーでリアルタイムにデータを送信。地中探査機、電線探査機もある。吉川社長は「様々な機械を保有することで、各データの複合や、現場の都合で測量の回数、時期を決める。そういった融通の利く測量ができる」とメリットを挙げる。
 加えて3D設計データを内製化している。現場では些細な差異や、設計変更はつきもので、3D設計データの修正は欠かせない。吉川社長は「3D設計データは現代の施工図。施工図は現場を熟知している自社の技術者が作成、修正する方が外注するより適切」との考え。結果、データ作成ができる人員が増え、低コスト化とともに、技術者の都合でできるため「外注より非常にスピード感が出てくる」と話す。
 一方、建設機械のDX化について「簡単に言えば、丁張りが不要になり生産性が向上、手元作業員がおらず安全性が向上する効果につきる」との見解。人工(にんく)を削減するのは簡単だが、作業時間自体を大幅に削減するのは、なかなか難しい。これが、現場で直面する問題。
 その対応として取り組んでいるのが「チルトローテータの導入。これによりバックホーの掘削性能、多様性を目指していく。各メーカーは多種のアタッチメントを用意しており、アタッチメント交換には10秒程度あればできてしまう、非常に優れたアタッチメント交換能力を持っている」と説明した。
 地域の建設業に求められるDXは、同社の場合はチルトローテータが最適という考えに至る。これからの5年間で保有重機の50%に搭載しようとの考えを示し「それぞれの地域、会社の事情などがある。人的、地域の環境、顧客のニーズ、先端技術の動向といったものを考慮しながら、それぞれの会社に一番最適なDXの投資をし、生産性を向上する。それが地域建設業に求められるDXだ」と結んだ。
(地方建設専門紙の会・日本工業経済新聞社)