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2024/08/20

建設トップランナーフォーラム「DXが地域建設業の未来を拓く」E

 「BIM・CIMの対応/インフラ分野のDX戦略」がテーマとなった第2部。美保テクノス(鳥取県米子市)は、建築分野において企画段階から設計、施工、そして維持管理の全ての過程でBIMを活用するFULL―BIMに挑戦している。野津健市社長と竹内智恵BIM戦略部課長が「地方ゼネコンのBIM戦略」と題し、2現場から得た経験を通して確立させたBIMの道筋を発表した。
 同社は、2004年にAutodesk社のBIMソフト(Revit)を導入。18年には「BIM戦略部」を発足させ、地方ゼネコン型BIMの実現に向けて踏み出した。
 発表した2現場は、SPC(特別目的会社)の代表企業も務め、PFI手法(BTO方式)で整備した鳥取県西部総合事務所新棟と、53年ぶりの建て替えとなった同社新社屋。
それぞれ施工者であり、発注者でもある立場を活かし、FULL―BIMプロジェクトとして事業に着手。クラウド活用による情報共有やVRを使ったモデルレビュー、デジタルファブリケーションなど15項目に挑戦した。
 FULLーBIMによる挑戦は、建設現場で重要とされる「品質・原価・工期・安全・環境」の5つの要素に良い影響を与えることを証明し、BIM技術の飛躍的な進歩を実現。一方で、同様にモデリングし、設計を進めてきたにも関わらず、現場から出た意見には大きなが違いがあった。
 課題解決に向け同社は、建築分野の社員で意見交換会を開き、現場で生産性を阻害させる点を明らかに。「着工までに正確な設計情報を生成するためのプロセスの確立」が最重要課題と結論付けた。現場に押し付けるBIMではなく、現場が利用するBIMにするための改善に入る。
 2023年、BIMを活用した設計情報マネジメントの国際規格と言われるISO19650を、当時の地方建設業として初めて取得。現在は従来の設計手順とISO19650を融合した独自のBIMワークフローを確立し、設計・施工案件で運用している。現場の生産性向上を第一に考え、着工までに正確な設計情報を取りまとめて現場へ共有。設計手順と必要な情報を明確化し、理想的なスケジュール管理を行うことを可能とした。
 また、設計業務に携わる若手技術者の技術向上、早期戦力化にも繋がる。当初、構想していたBIMとは変わり、情報マネジメントを基礎とした正確な建築情報の生成プロセスこそがBIMであるという確信に至った。
 野津社長は「地方の建設会社だが、BIMを活用し様々なチャレンジをすることで面白い仕事、世界でも最先端な仕事ができる。これからも実証し、発信していきたい」と発表を締めくくった。
(地方専門紙の会・建設工業新聞)