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2024/08/13

建設トップランナーフォーラム「DXが地域建設業の未来を拓く」D

 最大震度7を記録した能登半島地震は、道路の寸断、土砂崩れ、トンネル崩壊、津波、液状化といったあらゆる被害をインフラにもたらした。石川県建設業協会の山岸勇専務理事=写真=が「複合的な被害をもたらした」と話すこの地震は、半島の先端まで150`ある地形や距離の制約もあり、道路啓開や護岸補修などの応急復旧をおおむね完了するまでに100日を必要とした。
 建設トップランナーフォーラムの特別発表として、「能登半島地震における地域建設業の取り組み」をテーマに講演した山岸専務は、「地震発生以降、国、全国の地方自治体、建設業界が被災地に駆け付けてくれている」と関係者の支援に感謝した。
 能登半島地震は、今年1月1日に阪神・淡路大震災や熊本地震を上回るマグニチュード7・6の規模で発生。石川県志賀町・輪島市で最大震度7、能登半島の大部分で震度6以上を記録した。
 山岸専務は「石川県は南北に約200`の細長い県土。三方を海に囲まれた半島の根元には、ボトルネックとなる幹線道路が三本あり、この道路が今回の被災で大きな被害を受けた」と説明。さらに、能登半島が「日本有数の地滑り地帯でもある」とも話し、「地滑りした後の土地を利用し、点在した集落が生まれた」と歴史的な背景を解説した。
 石川建協は、発災翌日の1月2日に災害対策本部を設置。石川県と結んでいた災害協定に基づき、道路啓開などの緊急工事に従事した。能登地域以外の4地区協会がローテーションを組み、1日当たり最大30班を編成し、能登地域の緊急工事に当たった。同月6日からは、道路啓開に必要な砕石運搬や物資輸送も行った。
 南北に長い地形で、金沢方面から進めた道路啓開作業は「道路の段差を解消し、地割れを埋めながら少しずつ北上した。路肩が大きく崩壊した路線もあり、砕石を補充して幅員を確保する必要もあった」と振り返った。さらに「山地が多く、倒木の除去にも多くの時間を要した。まさに『ほふく前進』するように作業を進めた」とも話した。
 被災直後、石川建協の会員企業は「停電と断水が続いており、車中泊、自炊しながら現地作業に携わった」と述べ、「オール石川の総力戦で地域の復旧に当たった」と強調した。
 フォーラムのアドバイザーを務めた元国土交通事務次官の谷口博昭氏は「多くの関係者の支援によって復旧・復興にめどがついた」と感謝する一方、「インフラはその機能が損なわれてこそ重要性が痛感される」と指摘。「この機会に国土強靱(きょうじん)化の加速を訴えることを忘れてはならない」と語気を強めた。
(地方建設専門紙の会)