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2024/07/18

「まだまだ多い工事書類」 全建調査

 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)が行った生産性向上に関する会員アンケートで、現場技術者の長時間労働を招く工事書類について「発注者が求める書類がまだまだ多い」といった声が上がっている。時間外労働の上限規制が建設業に適用され、書類の簡素化は進んでいる。ただ、発注者への提出書類は削減されていても、監督職員に「提示」を求められる資料や、監督職員への説明資料の作成に技術者の労働時間が割かれているという。
 調査は、今年4〜5月に行われ、都道府県協会の会員1496社が回答した。時間外労働の上限規制がスタートし、現場の生産性向上の重要度が増しているとして、例年行っている品確法の運用指針の運用状況に関するアンケートから生産性向上の項目だけを独立させ、調査内容を充実させた。
 書類作成業務の負担軽減を巡っては、国土交通省が工事関係書類の業務削減に向けた「五つの支援メニュー」をまとめるなど、発注者側でも対応が進んでいる。支援メニューには、直轄工事の書類の標準様式を周知させるなど、地方自治体の書類削減を促す取り組みも盛り込まれている。
 ただ、全建のアンケート調査によると、一部の発注者では、書類削減が徹底されていなかったり、現場での運用がルールと異なっていたりする実態が明らかになっている。
 「(監督職員に)聞かれたら答えるバック資料の書類がある。簡素化したとは思えない」「簡素化で提出しないはずの書類でも、監督員に『提示』させられる」といった声がある他、「書類の簡素化が進む中でも、新たに提出する書類が増え、昔よりも現場技術者の負担が増えている」といった意見まであった。
 一方で、会員企業の中には、現場技術者の負担軽減や管理業務の生産性を向上させるため、企業として現場支援に取り組んでいる。調査結果によると、全体の41・2%の企業が「社内書類の削減・簡素化」に取り組んでいるという=グラフ参照。同じ設問では、「バックオフィスの構築」や「建設ディレクターの導入」などによって、現場の生産性向上に取り組んでいる会員企業もあった。
 ただ、公共工事の現場では、受注者が削減できる書類にも限界がある。「コストが掛からない発注者側の書類の簡素化をまずは実践すべき」など、発注者にさらなる書類の簡素化の徹底を求める声は依然として強い。

提供:建通新聞社