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2024/07/12

スライド条項の適用増 都道府県・政令市の半数超で

 国土交通省が都道府県と政令市の発注工事を対象にアンケート調査を行ったところ、2023年度にスライド条項の適用件数が前年度よりも「増加」したとの回答が全67団体のうち36団体と半数超を占めた。改正品確法で発注者の責務に価格転嫁対策が追加されたことを踏まえ、今後の価格高騰局面に備え、国交省はスライド運用基準の策定に向けた自治体への働き掛けを強める。
 スライド条項は、当初契約の請負代金額が賃金や物価の変動で不適当になった際の、金額変更に関する請負契約書上の取り決め。都道府県・政令市の発注工事では、物価が大きく変動した22年度に21年度と比べて適用件数が「増加」したとの回答が57団体で8割を超えた。
 22年度と23年度の比較では、36団体と半数超が適用件数「増加」と回答し、前回調査よりは減少したものの資材価格高騰の傾向が続いた。増加した団体の内訳は「1〜10倍」が34団体と大半を占め、「10〜20倍」と「20倍以上」がそれぞれ1団体だった。適用件数が「マイナス」と回答した自治体も25団体あった。
 スライド条項は公共工事標準請負契約約款に位置付けられているが、このうち単品・インフレスライドについては、具体的な運用方法を定めていない。そこで、あらかじめ発注者が運用基準を定めておくことが、安定的なスライド条項の適用で重要になる。
 23年度の入契実態調査によると、都道府県・政令市は全団体がスライド条項の運用基準を策定。一方、市区町村は単品スライドで46・5%、インフレスライドで44・3%となっており、策定率は向上しているものの半数に届いていない。
 改正品確法では、労務費や資材の価格変動を適正に価格転嫁することを発注者の責務として新設。スライド条項の運用基準の策定、適切な適用を求めている。
 国交省は今後のさらなる価格高騰に備え、都道府県とも連携して市区町村に運用基準の策定を促す働き掛けを強化していく考えだ。

提供:建通新聞社