国土交通省の交通政策審議会は、「能登半島地震を踏まえた港湾の防災・減災対策の在り方」について答申した。能登半島地震の際に、海上ルートでの支援活動が十分に行われなかった反省を踏まえ、岸壁の耐震改良や既存ストックの有効活用などの重要性を示した。今後、国交省で施策の具体化に取り組む。
答申では、南海トラフ地震や首都直下地震などが起きた場合に、港湾施設の破損や、津波で流された土砂堆積による航路閉塞、代替港湾への貨物の集中などが発生すると指摘。これらの課題に対応するため、ハード・ソフト両面の施策を示した。
ハード面では、海上支援ネットワークの形成のため、地域防災拠点と広域防災拠点を整備することを求めた。耐震強化岸壁や、内陸につながる道路、物資を仮置きする背後用地などを確保する。支援船への補給や積み込みには被災地近くの港湾などが利用されることから、支援側港湾を想定した整備を行い、災害時の健全性を確保することが望ましいとした。
津波の発生時にも備える。防波堤や防潮堤を粘り強い構造とし、水門・陸閘などの自動化・遠隔操作化を推進する。応急復旧に必要な砕石や敷鉄板、バックホウなどの資機材を備蓄しておき、関係事業者との協定を締結することで、迅速な復旧作業に着手できるように備える。
被災地域の港湾が利用できなくなり、全国の物流に影響を及ぼす可能性も指摘した。全国の港湾で耐震強化岸壁の整備や臨港道路、荷役機械の耐震化に取り組み、インランドポートの活用・拡大についても検討すべきとした。
提供:建通新聞社