国土交通省は、都道府県・政令市を通じ、民間発注者に適正工期を確保するよう働き掛ける。4月から時間外労働の罰則付き上限規制が適用されたことを踏まえ、週休2日を確保した工期設定を促す。都道府県が民間発注者も交えた会議を開催したり、都道府県に民間発注者への通知文書の発出を求めたりして、受注者である建設業の時間外労働削減を後押しする。
4週8休を原則化した直轄土木工事をはじめ、公共工事では週休2日の取り組みが進展。一方で民間工事については、週休2日を確保できていない工事が相対的に多い実態が、日本建設産業職員労働組合協議会などの調べで明らかになっている。
そこで国交省は、2024年度上期ブロック監理課長等会議の場を通じて、都道府県・政令市に民間発注者への働き掛けを強めるよう促している。24年度の取り組み状況を見ると、働き掛けを「行っている」としたのは47都道府県・20政令市のうち22団体。23年度より5団体増えたものの、全体の3分の1程度にとどまっている。
具体的には、ホームページでの掲載やポスターの掲示が最多で、一部では民間発注者向けの通知文書の発出などもあった。
国交省は、茨城県が民間工事の適正確保に向けた官民連絡会議を設立したことを好事例と位置付け、周知する。民間発注者団体を直接訪問して参加を促し、県が作成したリーフレットで工期ダンピングの防止を呼び掛けたという。
国交省もこうした取り組みを後押しする。厚生労働省が主催する建設業関係労働時間削減推進協議会や、労働基準監督署の説明会などで講演し、民間発注者に上限規制を周知している。商工会議所など地域の発注者が主催する会議でも積極的に講演していく考えだ。
さらに、民間発注者を対象とした建設Gメンによる調査の拡充、労働基準監督署との合同による工期設定の重点調査などを通じて実態把握にも取り組む。
提供:建通新聞社