全国建設労働組合総連合(全建総連)が4〜5月に行った住宅建材・設備の価格に関するアンケート調査に対し、工事原価が上昇したと回答した工務店が調査対象の85・5%となり、1年前の前回調査より6・8ポイント低下した。価格上昇分を注文者に負担してもらったとの回答も64・5%となり、7・5ポイント上昇しており、価格転嫁が前回調査より進んだ実態が明らかになっている。
4月9日〜5月31日に行った調査には、27都道府県にある工務店1081社が回答した。回答者の属性は、年間売上高1000万〜5000万円が45・8%で最多。一人親方が46・8%、従業員4人以下の工務店が43・9%を占めている。
工事原価についての設問では、工事原価が「かなり上がった」が27・7%(13・4ポイント減)、「上がった」が57・8%(6・6ポイント減)と、合計85・5%となり、前回調査より6・8ポイント低下した。一方、「横ばい」は6・7ポイント増の14・4%となり、建材・設備価格の上昇に一服感が出ている。
見積価格についても、価格上昇が「大きな影響が出ている」との回答が8・7ポイント減の38・5%と前回調査を下回っている。
建材・設備の納期についても、90・1%が遅延がなかったと回答しており、全建総連は「建材・設備の納期遅延はおおむね解消されたと思われる」としている。
価格転嫁の状況については、注文者が価格上昇分を負担したとの回答が64・5%で、7・5ポイント上昇した。価格転嫁できなかった理由としては「すでに見積書を提出していた」(86・6%)や「同業他社との競争」(47・3%)を挙げる回答が多かった。
この他、技能者を雇用している工務店に対し、雇用している技能者の賃金の動向を調査。過去2年間の賃上げについて聞いた設問に対し、「賃金を引き上げた」との回答は46・9%、「検討中」が22・3%だった。ただ、注文者に対し、賃上げに向けて労務費の価格転嫁を交渉した工務店は、31・6%にとどまる。
提供:建通新聞社