国土交通省の調べで、工期設定に際して作業不能日に猛暑日を考慮していない都道府県が18府県、政令市が6市あったことが分かった。国交省は7月末にかけて全国で開く2024年度上期ブロック監理課長等会議で、直轄工事における適正な工期設定指針などを参考に、猛暑日を考慮した工期設定を促していく。
直轄工事の工期設定指針では、「天候等による作業不能日」を休日とともに不稼働日に算入。降雨の他、8時から17時までのWBGT値が31以上の猛暑日となる間を足し合わせて日数換算し、工期設定に反映することとしている。また、3月に中央建設業審議会が改定した工期に関する基準でも、猛暑日による不稼働を新たに工期設定で加味することとされた。
こうした工期設定の取り組み状況を監理課長等会議の開催に先だって調査したところ、都道府県の6割超、政令市の7割が考慮していないことが分かった。また、考慮している団体のうち、特記仕様書に明示しているのは都道府県で17団体、政令市で4団体にとどまった。
21年度から23年度までの3年間に猛暑日を理由として実際に工期を延期したのは福島県、東京都、横浜市、浜松市の4団体だった。
直轄工事の適正指針とは異なる方法で猛暑日を工期設定に反映している団体もあった。群馬県では、不稼働日を踏まえた過年度の実績工期や、週休2日を考慮した標準工期の算定式を17年度から設定。23年度からは工期中の猛暑日の発生を受け、さらなる工期延期を認めた。佐賀県は余裕期間制度を活用し、受注者が猛暑日を避けた施工体制を可能とした。仙台市も、工事特性に応じて「その他の不稼働日」に猛暑日を見込んでいるという。
厚生労働省によると、WBGT値が31以上の猛暑日は熱中症の危険があり、屋外での活動を避けるべきとされる。近年、夏期の猛暑日が増加し続けていることから、熱中症対策の一環として工期設定への考慮を求めることにした。
猛暑日を考慮していない団体は次の通り。
■都道府県
▽青森県▽宮城県▽山形県▽栃木県▽長野県▽岐阜県▽静岡県▽大阪府▽鳥取県▽徳島県▽愛媛県▽高知県▽福岡県▽長崎県▽熊本県▽大分県▽宮崎県▽沖縄県
■政令市
▽札幌市▽川崎市▽静岡市▽浜松市▽堺市▽福岡市
提供:建通新聞社