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中央ニュース

2024/07/04

発注者にも適正取引促す 建設Gメンの取組方針

国土交通省は、建設業の取引適正化を担う建設Gメンの活動方針を初めてまとめた。「労務費の基準」を著しく下回る見積もりや契約の禁止など、改正建設業法によって新たに定められた請負契約のルールの施行に先立ち、取引実態を把握。工事発注者を含めた請負契約の当事者に対し、新制度の周知とともに、指値発注のように現行制度でも不適切な取引の是正を強く働き掛ける。10月〜12月を活動の「集中月間」と位置付ける。
 建設Gメンによる実地調査の効率化に向け、まずは書面による下請け取引実態調査を大幅に拡充。調査対象を、2023年度の1万2000者から、より小規模な事業者も加えた3万者まで増やす。必要に応じて注意喚起などの改善指導を行う。実地調査により法令違反が明らかになれば、強制力のある立ち入り検査を実施する。
 実地調査の主な項目は、▽適正な労務費の確保▽価格転嫁の状況▽適正工期の設定▽下請代金の支払い―。
 このうち労務費の確保では、改正建設業法に基づく労務費基準の運用を見据え、建設業者が発注者や元請けに提出した労務費の見積もりの算出根拠を確認。発注者や元請けが見積額を変更した場合も算出根拠や不適当な金額となっていないかを調べる。見積額全体の適正性、指値発注の有無も把握する。23年から始まったインボイス制度を受け、消費税相当額の一方的な減額や、課税事業者へ転換した場合の価格据え置きといった不適正取引も調べる。
 価格転嫁に関する調査では、労務費の価格交渉について政府が示した指針を踏まえ、対応状況を確認。違反は独占禁止法に抵触する恐れがあり、公正取引委員会に情報提供する。改正建設業法により資材価格高騰時の転嫁協議に関するルールが新設されることから、受注者から発注者への変更協議の申し出の状況も調べる。
 工期設定については、3月に改定した適正工期の基準を順守した見積もりを行っているか、実工期への反映状況を見る。労働基準監督署との合同調査も行う。
 下請け代金の支払いでは、現金化まで60日超の手形が「割引困難な手形」として指導対象になったことを踏まえ、期間の短縮を促していく。
 この他、地方整備局に設置しているホットラインや相談ダイヤルを通じ、法令違反の疑義情報を収集。通報者が不利益を被らないよう、実地調査や立ち入り検査の時期を工夫することも盛った。
 建設Gメンは法改正を見据えて2024年度から体制を倍増し、本省や地方整備局を合わせて135人体制となっている。今回、建設業法令順守推進本部の24年度活動方針として、Gメンの取り組み事項を初めてまとめた。

提供:建通新聞社