厚生労働省は、特定元方事業者にICT技術を活用した現場の遠隔巡視を認める。都道府県の労働局に通知し、関係事業者などへの周知・指導を求めた。建設業労働災害防止協会(建災防、今井雅則会長)が3月にまとめた「2023年度ICTを活用した労働災害防止対策の在り方に関する検討委員会報告書」を参考に、遠隔巡視導入の考え方をまとめた。
現在のICT・デジタル技術では嗅覚や触覚などはカバーできないため、安全衛生水準を確保できる範囲での導入が妥当とした。遠隔巡視の場合でも、週1回は目視による巡視を行う。
遠隔巡視が望ましくない場合として、元方事業者が作業現場に常駐する場合や、リスクの高い作業を行う場合、新しい作業や工法を導入する場合、作業工程を変更する場合などを挙げた。
遠隔巡視には基本的にモバイルカメラを使用し、連続した記録や確認が必要な場合は定点カメラを併用する。スマートフォンなどを手に持った状態での巡視は、よそ見によるふらつきで転倒、衝突する危険があるとして、禁止する。巡視の映像データなどは一定期間保存する必要がある。
遠隔巡視できる関係請負人は、安全衛生責任者かそれに準ずる者とし、モバイルカメラの使用前に事前試行や教育訓練などを行う。元方事業者と関係事業者は、カメラ装着者の要件、巡視の時間帯、巡視場所、遠隔巡視における指示の方法や改善方法、試行実施、教育訓練の方法などについて事前に取り決める必要がある。巡視の鮮明な様子がリアルタイムで遅延なく把握できることや、双方向のコミュニケーションが円滑に行えることなどに配慮する。
提供:建通新聞社