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中央ニュース

2024/07/02

ECI方式の指針変更へ 事例拡充で活用促進

 国土交通省は、直轄工事の発注に技術提案・交渉(ECI)方式を適用する際のガイドラインを一部改定する。10億円以下の工事や橋梁補修工事にも適用が進んだことを踏まえ、記載する事例を拡充・更新し、「事例編」として独立させる。発注担当者に活用してもらい、ECI方式の適用拡大につなげる。
 ECI方式は、発注者が仕様を設定できなかったり、仕様の前提となる条件を確定できなかったりする工事を対象に適用を進めてきた。これまでに直轄工事では38件で適用しており、北海道開発局と8地方整備局で実施事例がある。受発注者へのヒアリングや発注者アンケート、建設業団体への要望を踏まえ、現行制度の課題を把握し、指針を見直すことにした。
 事例を拡充する一方で、ECI方式の有効性が生かせないケースもあきらかになった。周辺工事の影響や調整不足、技術協力業務時の調査不足により、工事の中断や遅延、工法の再検討があるという。そこで、周辺工事や関係機関との協議を見据えてECI方式の導入を検討するよう指針に明記する。
 施工者の負荷軽減も課題に挙がった。「工期短縮と工費縮減」のように相反していたり、検討事項が広範囲にわたったりする技術提案テーマの設定が負担となることから、発注者に留意を求める。
 技術協力業務に伴い、配置予定技術者に求めていた経験と異なる工法に変更される事例もあった。そこで、指針では、配置予定技術者に求める要件について「技術協力業務後の変更の可能性」を踏まえて設定するよう求める。配置技術者が経験のない工法に変更が決まった場合は、その工法の経験を持つ者を別途、配置するよう公示資料に記載する方向だ。
 さらなる検討事項も残されている。ECI方式では一般的に少なくとも3回程度、学識者の意見聴取を開催しており、発注者にとって負担との声が上がっていた。そこで、価格交渉後の積算の妥当性検証の手続きなどについて、海外事例を参考にさらに検討を深める。受発注者間でのリスク分担についても、提示方法の整理を考える。

提供:建通新聞社