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2024/06/25

直轄事業費の変動リスク 新規評価時に明示

 国土交通省は、直轄事業を新規で事業化する際、事業費の変動リスクを明示する。大規模事業に限り、価格上昇などのリスクを明らかにする見込みだ。6月24日に開いた公共事業評価手法研究委員会で、「公共事業評価の費用便益分析に関する技術指針(共通編)」の改訂方針案として提示した。あらかじめリスクを洗い出し、考慮した上で費用を計上する。
 国交省では、新規事業の採択時に事業評価を行い、必要な費用や得られる便益の算定結果を踏まえて事業化を判断している。事業の進展に伴い、当初想定していなかった地質条件や資材価格の上昇などにより、事業費が上振れする課題があった。
 改定方針案では、評価時点でのリスクへの対応状況、事業費計上の考え方を明示するとした。事業費の変動の影響が特に大きい、大規模事業を対象とする。
 リスクを考慮した事業費の計上に当たっては、過去の事例の蓄積や分析結果を踏まえる。さらなる事業費増を避けるため、コストマネジメントをはじめ事業の執行管理を実施する他、効率性低下にも対応する。事業費や事業計画の抜本的な見直しが生じた場合は、再評価を前倒しするとの方向性も示した。あらかじめリスクを把握するため、事業化に先立つ事前調査の充実が重要になる。
 公共事業の評価手法を巡ってはこの他、事業評価の対象範囲の見直しを検討するとした。道路であれば、新規に事業化する個別の区間のみを対象にしても効果の適正な評価が困難なことから、より幅広いネットワークの中で効果を把握するイメージだ。
 また、事業で得られる便益についても、多様な要素で評価できるようにする。たとえば道路事業では、従来計上されてきた走行時間短縮と走行経費減少、交通事故減少の3便益に加え、環境改善や災害時の代替路確保といった内容が地方整備局の事業評価で貨幣換算された実績があるという。

提供:建通新聞社