BIMライブラリ技術研究組合(BLCJ)は、2023年12月に公表した「BIMオブジェクト標準Version2.0」をさらに発展させる。BIM導入効果が大きいと考えられる建築確認申請や仕様情報などの分野で、設計から施工、維持管理まで円滑に情報が伝達できるよう情報連携技術を検討する。
同組合は国土交通省が行うBIM加速化事業の補助金を活用し、BIMの標準モデルの開発に取り組む。建築確認審査時に審査対象となるPDF図面と合わせて、3次元のIFC(BIM共通ファイルフォーマット)データを提出することで、図面間の整合チェックを不要とし、審査期間を短縮する。25年に開始し、27年に全国展開することを目指す。
将来的には、IFCデータから審査に必要な情報が自動表示させ、さらなる効率化を目指す。24年度は、「標準Ver.2.0」の未整理部分を検討・整理する他、建物を構成する製品の個々の名前も利用できるようにメーカーとBIMベンダー、民間ライブラリサイトが連携してポータル的な試験用BIMライブラリサイトを検討する。
「標準Ver.2.0」には、確認申請BIMの標準サンプルデータとBIMを使った申請図書サンプルなどを整備。IFCデータは、外形形状はおおむね正しく変換されるが、面積やオブジェクトの情報の変換には課題が残る。
また、IFCデータとPDFとの整合性を担保する仕組みとして、入力基準書、標準参考テンプレート、設計者チェックリストの「3点セット」を作成。入力基準書は、入力の範囲や基準、計算部分を定義し、説明書のような役割を果たす。
標準参考テンプレートは、BIMの標準的な作業環境で、手間のかかる調整・作成・設定を事前に用意。BIM導入が遅れている中小企業へのBIM普及の支援にもつながる。
設計者チェックリストは、BIMの基本機能となる形状・表記・計算が正しく行われているか、設計者が宣言するフォーマットとなる。
提供:建通新聞社