国土交通省は、建設分野の脱炭素化の取り組みの一環として、CO2排出削減効果を公正に評価するためのアクションプランを策定する。従来の手法と比べた新技術・新工法の効果を評価する仕組みを整えることで、民間技術の開発・導入を後押しする狙いがある。直轄土木工事を通じてカーボンニュートラルの取り組みをけん引していく。
6月14日に開いた社会資本整備審議会交通政策審議会技術部会の分野横断的技術政策ワーキンググループで表明した。日本のCO2排出量のうち、インフラ整備が直接関わるものは約13%を占める。政府は2030年にCO2排出量を13年度比で46%削減、50年に実質ゼロを目指すカーボンニュートラル目標を掲げているが、現状の業界目標では30年度時点で削減率は25%程度にとどまり、目標達成は難しい。このため、脱炭素化につながる建設機械や材料の社会実装を加速させる。
国交省はアクションプランを通じて建設分野における短期のロードマップを示す。プランの策定は24年度内を見込む。
具体的には、建設機械の稼働に伴うCO2など、現場内での直接的な排出を計量的に把握。これにより、電動建設機械などの脱炭素につながる技術の普及に弾みをつける。
さらに、建材の製造・運搬など間接的なCO2排出のうち、特に製造過程での排出量が大きいセメント・コンクリートの把握にも注力する。CO2を吸着するなど、製造時に発生させる分よりも多くのCO2を固定化するカーボンネガティブコンクリートの活用促進につなげる。
間接的な排出のうち、鉄鋼や、ダンプトラックをはじめとした建設関連貨物については、他産業も関わることから、取り組みの在り方を考えていく。
12日に成立した改正品確法では、脱炭素化に向けた技術、工夫の活用が基本理念に位置付けられた。また、公共工事の積算に当たっては、価格に加えて工期や安全性、生産性とならび、脱炭素化への寄与を含めて総合的に価値の高い資機材や工法を採用することとされた。こうしたテーマを踏まえながら、直轄土木工事での脱炭素技術の活用を促進していく。
提供:建通新聞社