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2024/06/13

品確法が変えた公共工事 3法成立から10年

 公共工事の品質を確保し、持続可能な建設業を実現するための改正品確法が6月12日、成立した。2005年3月の制定から3回目の改正で、14年に建設業法・入札契約適正化法と一体の「担い手3法」として初めて改正してからは10年がたつ。公共投資の回復期と重なるこの10年、品確法は公共工事の発注者とそこに携わる建設業にどのような影響を与えたのか―。
 品確法は、公共事業費の急激な減少に伴うダンピング受注に歯止めをかけるため、05年4月に施行された。公共工事の契約を価格と品質が総合的に優れた内容とすることを明記し、入札時に応札者の技術力を評価する総合評価落札方式の導入を発注者に求めた。
 制定後の06年4月時点で5・4%に過ぎなかった各発注者の総合評価の導入率は、23年7月までに65・8%まで上昇した。
 14年6月、担い手3法として初めて一体で改正された品確法には、基本理念として「担い手の中長期的な育成・確保」が追加された。東日本大震災からの復旧・復興、インフラの老朽化対策の本格化で公共投資が回復しようとする中で、品質だけでなく、受注者である建設業の担い手の確保にも配慮することを発注者の責務とした。
 受注者が担い手を確保・育成できる「適正な利潤」を得られるよう、予定価格を適正に設定することも発注者の責務とした。これによって、品確法はそれまでの入札段階での対応にとどまらず、一般管理費等率や現場管理費率の引き上げ、歩切りの根絶といった、予定価格の積算段階での対策を講じられるようになったのも、この規定によるところが大きい。
 時間外労働の上限規制の建設業への適用が5年後に決まり、働き方改革への対応が求められるようになった19年6月の前回改正では、発注者の責務に「適正な工期の設定」と「施工時期の平準化」が追加された。
 ただ、工期設定に当たって休日を考慮している市区町村は23年7月時点で56・5%(23年7月時点)にとどまるなど、依然として5年前の前回改正時の趣旨の理解が進んでいない。

「国の権限強化で実効性確保」

 議員立法である品確法は、内閣が提出する閣法と異なり、地方自治体などの発注者に対し、強い強制力を持つ法律ではない。14年の改正以降、関係省庁が運用指針を作成し、各発注者に品確法の趣旨を浸透させるツールとしたことにも、こうした理由がある。
 今回の改正では、本来は閣法である入札契約適正化法を品確法と一体の議員立法としても改正し、国が発注者に助言・勧告する権限を設けた。生産年齢人口が減少し、この10年で建設業の担い手不足は深刻化の一途をたどっている。品確法をはじめとする第3次担い手3法の理念を早期に浸透させるため、発注関係事務を是正する際の国の権限を強める。

提供:建通新聞社