国土交通省は、直轄土木工事に伴って発生するCO2をはじめとした温室効果ガス(GHG)の排出量を算定する試行工事を2024年度に開始する。国土技術政策総合研究所が6日に公開したマニュアル案を活用し、建設機械の稼働や、コンクリートの使用量などに基づいて算定。稼働中の工事を対象に候補を選び、地方整備局ごとに少なくとも1件実施したい考えだ。
建設工事に伴うCO2の排出量は、日本全体の13%程度を占めるとされる。国交省ではこのうち、建機の稼働など現場内での排出と、主な材料のうちコンクリート製造に伴う排出量に焦点を当て、排出量の抑制策を検討。排出量を把握できるようにすることで、脱炭素化につながる新技術の効果を適正に評価できる体制を整える。排出量削減に有効な新技術であれば、どれだけの追加コストを許容できるかなどを考える基礎となる。
マニュアル案は、施工段階で発生するGHG排出量と、脱炭素技術によるGHG削減効果を同じ基準で算定するための考え方を示したもの。建機の稼働やコンクリート使用など、単位当たりの排出量(排出原単位)を定め、そこに稼働量や使用量を乗じて実際の排出量を算定する。
工事積算の考え方を踏襲するため、稼働量や使用量の抽出には積み上げや施工パッケージなども用いる。土砂の運搬に伴う燃料使用や電力の使用、材料の購入・輸送は含む一方、現場への通勤は含まないとするなど、算定の対象範囲についても明確化している。
排出量算定の試行は、大規模工事から比較的小規模な現場まで幅広く実施し、適用性を確認したい考え。標準的な工法と、脱炭素技術適用後の排出量の差を算定し、新技術の効果を把握できるようにする。
算定結果を収集し、マニュアルのさらなる充実に生かす。排出量算定の基本となる排出原単位については、積算項目と公開されている排出原単位データベースとの対応関係の考え方を整理する。24年度からは脱炭素技術に関する排出原単位データベースの整備も検討する考えだ。
提供:建通新聞社