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中央ニュース

2024/06/08

改正建設業法が成立 建設業の商慣習を転換

 建設業の持続的な発展に向けて技能者の処遇改善策を制度化する改正建設業法・改正入札契約適正化法が、6月7日の参院本会議で可決、成立した。「労務費の基準」の作成、資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止、工期ダンピングの禁止などを柱とし、受発注者、元下間の商慣行を転換させる。2025年12月の全面施行を見据え、国土交通省は関連する政省令・ガイドラインの整備を進める。
 処遇改善で鍵となるのは、中央建設業審議会が労務費の基準を作成、勧告できるようにすることだ。標準労務費を著しく下回るような見積もり・契約を禁止することで、技能者の手元まで適正な労務費が行き渡るようにする。違反した場合、国交大臣や都道府県知事が発注者に対しても勧告・公表できるようにする。
 具体化に向け今後、中建審にワーキンググループを設ける。国会審議では、公共工事設計労務単価をベースに歩掛かりを乗じるような手法を例に、地域・業種に応じてきめ細かく設定する方向性が示された。
 合わせて、労働者の処遇確保を建設業者の努力義務とし、国が取り組み状況を調査・公表できるようにする。原価割れ契約の禁止を受注者に対しても導入し、ダンピングを抑止する。
 近年、大きな問題となった資材価格の高騰と、労務費へのしわ寄せにも対応する。資材価格の高騰など請負額に影響を及ぼすリスク情報の発注者への提供を受注者に義務化。資材価格が高騰した際の請負代金の変更方法を契約書記載事項として明確化する。実際に資材価格が高騰した際は、受注者が契約時に定めた方法に則って契約変更協議を申し出た際、発注者に誠実に協議に応じる努力義務を課す。
 働き方改革の関連では、現在は発注者に対してのみ禁止している「著しく短い工期による契約締結」を受注者に対しても禁止。工期ダンピングによる受注という慣行からの脱却を促す。
 ICTを活用した生産性の向上も規定。請負代金額が一定以下の工事現場で、遠隔通信技術を用いる場合に技術者の専任義務を合理化し、兼任を可能とする。特定建設業者に対しICT活用の努力義務を課すとともに、国交省が取り組み内容の指針を定める。

提供:建通新聞社