今国会で審議中の建設業法改正案に盛り込んだ、資材価格高騰時の契約の変更協議について、国土交通省は協議を円滑に進めるためのガイドラインを整備する。受注者が資材価格の変動リスクとして通知すべき情報の範囲や、事前に通知していなかった場合の契約変更の考え方を整理。発注者に課している「誠実に協議に応じる努力義務」の趣旨を示し、受発注者が対等なパートナーシップを構築できるようにする。
6日に開いた参院国土交通委員会の質疑で塩見英之不動産・建設経済局長が答弁した。
建設業法改正案では、建設工事の請負契約の締結に当たって、資材価格の高騰など請負金額に影響するリスク情報を発注者に提供することを受注者の義務とする。合わせて、資材高騰時の請負代金額の変更方法を契約書に掲載すべき事項として明確化。実際に資材価格高騰が顕在化した際は、契約書で定めた契約変更協議に対し、発注者に誠実に応じる努力義務を課す。
塩見局長は、事前に通知するリスク情報は「受注者が把握している範囲」だとし、追加で調査を行ってまで通知するものではないとする見方を示した。
その上で、協議ルールを設ける狙いについて「これまで一方的に受注者がリスクを負ってきた実態を変えようとするもの」と説明。まずは発注者が協議の場につき、受注者側の背景や事情を理解してもらうことが必要だとした。誠実な協議に応じない場合は指導も可能となる。リスクの事前通知の範囲と合わせ、誠実な協議の在り方などをガイドラインで示す考えを述べた。
受注者が予見できず、通知しなかったリスクについても、資材価格の高騰については契約書に規定する方法で請負金額などを変更できることも改めて明確化した。
国交委では、標準労務費の設定方法を巡る質疑もあった。公共工事設計労務単価をベースとする場合、公共工事の工種が中心となることから、塩見局長は「できるだけ幅広く網羅できるように設定していく」と発言。標準労務費により適正賃金を行き渡らせる際の課題を把握するため、直轄の大規模工事を対象に実態を調べる考えも述べた。
提供:建通新聞社