不法・危険盛土の発生を防止するため、工事の元請けに対して建設発生土の最終搬出先の確認があす6月1日から義務化される。一定の要件を満たして国土交通省の登録を受け、元請けに代わって最終確認を担う「登録ストックヤード」は全国878カ所(5月29日時点、以下同じ)となった。香川県のように登録数ゼロの地域もある中、国交省は改めて制度の周知を急いでいる。
建設発生土の最終搬出先確認は、資源有効利用促進法の省令に基づく仕組み。2021年7月に静岡県熱海市で発生した土石流災害を受けて、不法・危険盛土の発生を防止するために制度が整備された。違反に対しては国交大臣が指導・助言や勧告・公表、命令を行う。命令違反には50万円以下の罰金も科される。
一定規模以上の建設発生土を伴う工事を施工する元請けによる再生資源利用促進計画の作成と、搬出先が盛土規制法の許可を得ていることの確認などは既に制度が始まっている。計画書は発注者に提出し、現場にも掲示しなくてはならない。さらに、搬出時には受領書を確認し、写しを工事完成後5年間にわたって保存しなくてはならない。
6月1日以降に契約する工事はこれに加えて、搬出先が未登録のストックヤードの場合、最終処分やリサイクルなどの最終搬出先を把握し、その名称や所在地、搬出量を記録した書面を作成することが求められる。さらに、書面は工事完成後5年間にわたって保存する必要がある。最終搬出先で不適正な土砂の取り扱いが判明した場合、どこの工事現場で発生し、どのような経路をたどって運ばれたかを追跡しやすくする仕組みと言える。
未登録の場合、ストックヤード運営事業者も工事ごとに搬出先を追跡できるように土砂を区分管理する必要があるなど、新たな手間が発生する。
一方、登録ストックヤードであれば、元請けは最終搬出先までの確認は不要になる。登録済みのストックヤードは国交省のホームページから確認することができる。国・自治体が管理する場所や、他の建設現場で土砂を利用する場合も最終搬出先の確認は不要となる。
■登録ストックヤードは878カ所に
登録はどこまで進んだのか。国交省による29日時点の集計では、全国で598事業者が878カ所のストックヤードの登録を受けた。とはいえ、その数は地域ごとに大きく異なる。都道府県別に見ると最多は埼玉県の73カ所で、以下、大阪府が58カ所、福岡県が49カ所となり、おおむね大都市とその近郊に集中している。一方、香川県はゼロで、群馬県、山梨県、佐賀県も1カ所にとどまる。
そもそもストックヤード事業者が少なかったり、公共管理の場所での処分が多かったりする地域もあり、登録数の少なさがすぐに処分先不足に直結するとは限らない。ただ、国交省では元請けの負担軽減や建設発生土の適正処分の観点からも、引き続きストックヤードの登録を粘り強く働き掛けていく考えだ。
提供:建通新聞社