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中央ニュース

2024/05/29

国交省 地下空間利用して浸水対策

 国土交通省は、激甚化・頻発化する浸水災害による被害を軽減するため、地下空間の活用推進に向けた七つの推進策をまとめた。特に都市部で洪水調節施設の建設適地が少なくなる中、地下に施設を整備することで、河川環境や河川利用に影響を与えずに洪水調節機能と河道流下能力を増強する。今後、都市部でモデル河川を選び、地下空間のゾーニングや施設整備などに取り組む。
 国交省がこれまで整備した地下河川は、首都圏外郭放水路など5件にとどまっている。国交省は、浸水被害軽減に向けた地下空間活用勉強会を開き、利用実態や現状を整理。5月28日に開いた会合で、七つの推進策を盛り込んだ提言案を提示した。
 推進策の一つには、河川の地下空間を縦断方向に活用する事例の推進を挙げた。設計、施工、維持管理における配慮事項や技術的知見を整理・周知する。
 地表から深い位置に整備する施設は整備費・維持費が高くなるという課題にも対応。鉄道や道路など地下空間の利用が集中する場合には、地下空間の利用についてルールを設け、ゾーニングする。
 河川区域から離れた場所でも、地下駐車場を廃止し、まとまった地下空間を確保できる場合などでは、地下調節池を河川と連結して活用できないか検討する。河川区域以外の公共施設とのネットワーク化で治水対策のバリエーションを増やす。
 整備に当たっては、すでにある地下構造物施工時のモニタリング方法や基準などをより具体化し、施工・維持管理を踏まえた基準類を拡充することで、トータルコストを抑える方針だ。
 限られた地下空間を効率的・効果的に使用するため、他事業と連携した整備を推進する他、技術者不足への対応策として技術相談窓口の設置や技術研修の実施、地方自治体への技術的・人的支援を行う。

提供:建通新聞社