財務省の財政制度審議会は5月21日、財政運営の進むべき方向に関する建議をまとめた。インフラ整備については、人口減少を踏まえた在り方を提起。事業評価で費用便益分析(B/C)が1を下回るような事業もあるとし、今後の人口動態を見据え、将来世代に受益が及ぶ事業に重点化するよう注文した。
建議では、人口減少への対応として、コンパクトなまちづくりを前提としたインフラ整備が必要になると指摘。富山市を例に、都市機能誘導区域と居住誘導区域を活用して都心部のにぎわいを生み出したとし、地域の生産性、持続可能性を高める施策を求めた。その上で、マクロな視点から国土のグランドデザインを描くことも検討すべきとした。
土地利用の関連では、防災・減災対策の一環として、ハード対策だけでなく規制的な手法の有効活用を求めた。災害危険性の高い地域への住宅支援を引き下げたり、土地利用規制と組み合わせることで治水対策の効果を高めるような手法を例示した。
建設業の人手不足に対しては、公共事業関係予算の増加や、公共工事設計労務単価の引き上げが、民間工事の円滑な施工に影響を及ぼすことへの懸念があるとした。公的な財政支出が民間事業に影響する「クラウディングアウト」につながることのないよう、留意を求めた。
提供:建通新聞社