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2024/05/21

都市部で集約建替を検討 国家公務員宿舎

 財務省は、国家公務員宿舎の不足対策として、都市部にある低層宿舎の集約建替により戸数を確保する方向性をまとめた。面積が広く、利用が十分でない敷地の宿舎が対象。集約化によって余った土地は処分し、建設費に充て、国民負担を軽減する。それ以外の既存宿舎についても、全国で合計約8500戸を対象に改修し、活用を促進する。
 2011年に策定した計画に基づき、財務省はこれまでに国家公務員宿舎5・6万戸(5046住宅)を廃止してきた。しかし、近年は特に都市部で宿舎が不足し、老朽化した住戸も顕在化。災害時などの緊急対応体制の確保をにらみ、必要な宿舎の整備、確保を改めて検討してきた。
 現状では、81自治体で宿舎が不足している。特に東京23区では約3800戸の供給不足となっており、課題となっていた。一方、静岡市や岡山市、仙台市内には都市部に広い敷地があるにも関わらず、利用率が低い宿舎があるという。
 今後は、既存宿舎の集約建替による戸数確保を検討する。対象となるのは、▽重要性は高いものの老朽化が進んでいる緊急時対応職員用宿舎▽都市部の広い敷地に複数立地する低層宿舎▽容積率、周囲の環境を踏まえたさらなる整備が可能な立地の宿舎―。省庁別宿舎の合同宿舎化、点在する低層宿舎の集約化なども検討事項に挙げた。
 集約化で余った跡地については、地元のニーズなどを踏まえて処分方法を検討し、地域貢献につなげる。オープンスペースや防災、福祉などに活用するイメージだ。
 老朽化対策では、計画的・効率的な改修により、必要な機能を確保する。当面の対象のうち、築40年以上の宿舎は全国に約5100戸あるという。また、築40年未満でも老朽化が進んでいる宿舎や、災害対策のために必要とされる宿舎約3400戸についても改修する。不足の実態を踏まえ、東京23区内の宿舎を優先的に整備するとしている。
 この他、脱炭素化に関連した取り組みとして、新耐震基準を満たし、屋上に空きスペースがある宿舎を対象に太陽光発電設備の設置を検討。30年度までに設置可能な宿舎の半数以上に設置する。長期の使用を見込む宿舎については、大規模改修などのタイミングに合わせてLED照明も導入する。

提供:建通新聞社