日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、国土交通省の直轄工事(道路、河川)で、変更設計の決裁までに3カ月以上かかった工事が33%あったとして、設計変更協議の円滑化を求めている。決裁までの期間は、平均でも3・0カ月を要している。本来は発注者が作成すべき設計変更関連の書類を受注者が作成している実態もあり、日建連は受発注者の役割分担を明確にする必要性を指摘している。
日建連が昨年11〜12月に行った会員企業に対するアンケート調査で、条件変更に当たる事実の確認請求から、発注者の変更設計の決済までに要した日数を聞いた。回答した現場は直轄工事の129現場。
調査結果によると、変更設計の決裁までの期間は平均3・0カ月で、3カ月以上かかった現場も33%あった。決裁までの平均の期間が最も長かったのは近畿地整の4・1カ月、最も短かったのは四国地整の1・5カ月だった。
日建連では、こうした設計変更協議の長期化が受発注双方の負担増となり、長時間労働につながる恐れがあるとして、改善を求めている。同じ調査では、設計変更審査会に変更の決定権限がある副所長らが出席していないケースも44%あったとされており、変更決定の早期化につながる副所長
らの出席を要望している。 設計変更協議の負担を軽減するためには、設計変更書類を作成する際の受発注者間の役割分担を明確にする必要もあるという。
本来は、発注者が作成すべき書類であるにも関わらず、監督職員らの指示で作成したケースが、「図面の修正・変更」と「数量算出・数量計算書」でそれぞれ30%、「発注者の内部説明資料(工法の比較検討、当該工法の選定理由など)」で24%あったという。
日建連は、現場着手前に役割分担を明確にする会議の開催を要望。アンケート調査によると、こうした趣旨の会議を開いていない直轄工事の現場が60%に上っているという。また、発注者に代わって受注者が設計変更関連の資料を作成しうる場合、適切に費用を負担することも求めている。
提供:建通新聞社