国土交通省と総務省は、入札契約の適正化と、2024年度当初予算の円滑な執行に向けた通知を都道府県、政令市に5月13日付で発出した。書類作成に伴う現場の業務負担を軽減するため、情報共有システム(ASP)を活用した工事書類の「原則電子化」を盛り込んだ。財務省と連名で、同じ趣旨の通知を初めて各省庁、特殊法人にも通知した。
国交省の直轄工事や業務では既に、ASPの活用が原則化されている。受発注者間のスケジュール調整や書類の作成・共有、決済処理などをオンラインで行う機能を備え、現場の働き方改革を後押しするツールと位置付けられる。通知では、ASPを活用することで受発注者双方の工事関係書類の業務削減に努めるよう求めている。
働き方改革の関連では、入札契約適正化法に基づく実施状況調査(23年7月時点)の結果を踏まえ、週休2日工事を実施していない市区町村が全体の約8割、各省庁・特殊法人の半数超に上ることを課題視。週休2日工事の実施に努めるよう改めて要請した。中央建設業審議会が3月に改定・勧告した「工期に関する基準」を踏まえ、WBGT値31以上の「猛暑日」を考慮した工期の設定も求めた。
施工時期の平準化では、これまで取り組みの指標としてきた閑散期だけでなく、繁忙期の解消状況も指標とする方向で検討していることを記載した。
通知では、適正価格による契約も柱とした。見積価格に発注者が独自の乗率を設定するなど、実質的に「歩切り」となるような運用を行わないよう、改めて注意を喚起。3月に低入札価格調査制度・最低制限価格制度によるダンピング対策の取り組み状況を自治体別に公開したことに触れ、他団体も参考に導入・見直しに取り組むよう促した。その際は、国交省が4月から直轄業務に適用した新たな調査基準価格の参入率、範囲を参考とすることを求めた。急激な物価変動に対応するため、スライド条項の設定、運用も引き続き明記した。
入札・契約情報の公開に関しては「インターネットを利用する方法を原則とすることが適当」と記載。今後、情報の公表方法の見直しについて改めて要請する。
提供:建通新聞社