日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)が会員企業19社の土木技術者の年齢構成を調査(2022年度時点)したところ、30代の監理技術者の割合が18%と10年前の12年度よりも約3割、40代の割合が34%と約6割へと減少していたことが分かった。一方で、実務経験が少なく、大半が資格を未取得の20代の若手技術者は12年度の12%から23%と倍増しており、日建連は若手技術者の登用を促す制度の運用改善を求めている。
この10年間で、ゼネコンに所属する監理技術者の半数を超えていた40代が50代になり、2000年代に入社した世代が30代後半から40代後半を迎えている。各社が採用を手控えていた00年代に入社した世代は絶対数としても少なく、このことが中堅の監理技術者の減少を招いている。
一方、2010年代の公共事業費の回復を受けて各社が積極採用に転じたことで、20代の若手技術者は大幅に増加した。ただ、技術検定の受験資格を満たす実務経験年数のないこの世代は、現時点で監理技術者の資格保有率が低い。
こうした課題を踏まえ、日建連は若手技術者の育成を目的にベテランの技術者を配置できる「専任補助者制度」や、経験豊富な技術者が若手技術者を指導・監督する「監理技術者育成交代モデル工事」など、若手技術者の育成を後押しする制度の改善を求めている。
専任補助者制度については、施工上の区切りとなる時期まで現場に従事した後、専任補助者が若手技術者と監理技術者を交代したり、本社・支店に勤務しながら若手監理技術者を指導することも可能だとしている。
「若手の離職率も上昇」
一方、20代の若手技術者は離職率も高い傾向にある。日建連の別の調査によると(会員18社回答)、回答した企業の20代の平均離職率は6・7%で、5年前の4・4%から2・3ポイント上昇。このうち、離職の理由として「転勤・異動」を挙げる若手技術者が半数を占めるという。
「転勤・異動」が離職理由の半数を占める背景には、配置予定技術者の参加資格要件を設定していたり、総合評価落札方式の個人評価によって技術者の固定化が進んでいることがある。
日建連は、▽同種工事の経験・年数・規模要件の緩和▽配置予定技術者の変更申請▽途中交代への柔軟な対応▽ICTを活用した遠隔管理―といった監理技術者制度の運用緩和が必要だとしている。直轄工事の段階選抜方式でも、特定の経験を持つ技術者のみを評価する制度の廃止を求める。
下請け企業の主任技術者の不足も深刻だとして、24年度にスタートした技術検定の資格要件の緩和に加え、指定学科卒以外で10年以上としている実務経験のみでの主任技術者資格要件の取得の短縮も求めている。
提供:建通新聞社