厚生労働省は、精神障害の労災支給決定件数が増えていることなどを受け、ストレスチェック制度などによるメンタルヘルス対策を強化する。特に、労働者が50人未満の小規模事業場は、メンタルヘルス対策に取り組む割合が低く、こうした小規模事業場での対策が課題。ストレスチェック制度の効果や小規模事業場でも取り組みやすい制度設計などを検討する。
22年度にメンタルヘルス対策に取り組んだ50人以上の事業場が91・1%だったのに対し、小規模事業場では、労働者数30〜49人の事業場が73・1%、10〜29人が55・7%にとどまり、規模が小さい事業場ほど対策が遅れている。
ストレスチェック制度を活用した労働者の74・0%が制度の有効性を評価しているが、中小企業では、▽事業場の人数が少なく制度実施者がいない▽メンタルヘルス不調の労働者がいない▽制度活用後の改善方法などが分からない▽プライバシーが守られない―などを理由に取り組みが進んでいない。
厚労省が策定した「第14次労働災害防止計画」では、メンタルヘルス対策強化に関する目標を掲げ、27年までにストレスチェックを実施する小規模事業場の割合を50%以上、職業生活に強い不安や悩み、ストレスを感じる労働者の割合を50%未満にするとした。22年の労働安全衛生調査によると、建設業の労働者の78・6%が職業生活に不安や悩み、ストレスを感じている。
ストレスチェック制度は、15年12月に施行された制度で、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的に、労働者が50人以上いる事業所に年に1回の検査を義務付けている。
厚労省は23年4月にメンタルヘルス対策などに特化した「メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室」を設置し、対策を強化している。
提供:建通新聞社