2024年度の賃上げ実績に関する帝国データバンクの実態アンケートによると、建設業では回答企業の79・5%が賃上げを行っていた。全体平均の77%よりも2・5ポイント高かった。建設業界の人手不足の深刻化を反映した結果と見られる。
今年4月の正社員給与を前年同月からの変化と合わせて各企業に聞いた。アンケートに回答した建設業のうち、ベースアップや定期昇給により正社員1人当たりの賃金を引き上げたのは79・5%。据え置きは14・4%で、賃下げは0・7%だった。多くは人手確保のための「防衛的な賃上げ」と見られる。アンケートでは、9〜11%の賃上げに踏み切った建設企業から「従来の賃金では、求人しても応募すらない」との声が寄せられた。
業種を問わず、回答者全体の状況を見ると、賃上げした割合は77%、据え置きは16・6%、賃下げは0・6%。賃上げした企業のうち、「3%増加」との回答が22%を占め最多だった。次いで「5%増加」が15%、「2%増加」が12・4%だった。連合が目標に掲げる5%以上の賃上げを達成したのは26・5%と全体の4分の1程度にとどまった。
企業の規模別に賃上げ状況を見ると、大企業の実施割合は77・7%、中小企業は77%でほぼ同水準だった。一方、小規模企業は65・2%で、全体を11・8ポイント下回る結果となった。
新卒社員の採用状況も調べた。24年度に新卒採用があったのは45・3%、採用なしは53・1%。大企業は採用ありが76・2%で、全体を30・9ポイント上回った。中小企業は40・9%、小規模企業は23・7%で、企業規模が新卒採用状況に大きく影響した。
新卒採用のある企業では初任給についても調査した。20万〜24万円が57・4%を占め、最も多かった。15万〜19万円も33・3%あった。中小企業からは、物価高騰により賃上げの原資が圧迫されていることを受け、大手の給与水準との格差拡大を懸念する声が上がった。
提供:建通新聞社