2023年5月に施行された盛土規制法に基づいて規制区域を指定し、規制法の運用を開始した地方自治体が4月1日までに14団体となったことが、国土交通省のまとめで分かった。4月1日に大阪府と府内の中核市6市が規制区域を指定し、区域内で規制法の対象となる盛土に許可の取得が義務付けられた。同省によると、7月までに新たに5団体が規制区域を指定する見込みだという。
盛土規制法は、21年7月に静岡県熱海市で発生した土石流災害を受けて制定された。都道府県・政令市・中核市が「宅地造成等工事規制区域」と「特定盛土等規制区域」を指定し、区域内の盛土・切土の造成に許可・届け出を求める。
許可取得後も施工中の定期報告や中間検査、完了検査が必要になり、無許可行為や命令違反には最大で懲役3年以下、罰金1000万円以下(法人は3億円以下)の厳しい罰則も設けられた。都道府県・政令市・中核市は、基礎調査を実施した上で規制区域を指定し、区域内での許可から完了検査までの事務を担う。
法施行後、まず広島県が23年9月28日に全国で初めて規制区域を指定し、法の運用を開始した。広島県内では、3月末までに31件の許可申請を受け付け、16件の盛土の施工を許可した。
広島県内の一部の市では、規制法施行前から規制法の基準よりも厳しい「500平方b以上」の盛土に許可を求める独自条例を運用していたため、県は規制が緩くならないよう、500平方b以上の盛土に許可を求めている。「同じ県内に規制の緩いエリアがあると、不適正な盛土が集中する恐れがある」(広島県都市環境整備課盛土対策グループ)として、県内に一律の規制を設けた。
7月下旬までに区域指定を予定している東京都も、島しょ部の一部を除く都内全域を規制区域に指定する方針だ。区域指定が遅れていたり、規制の緩い地域には、エリアをまたいで土砂がもちこまれ、崩壊の危険のある盛土が施工される恐れもあるため、規制法には全国一律のルールで盛土を規制する制定当初の狙いがある。
盛土規制法では、法施行後2年以内に規制区域を指定するよう、都道府県・政令市・中核市に求めている。国交省の調査に対し、全国の都道府県・政令市・中核市の約9割が25年5月の期限までに規制区域を指定すると回答している。
提供:建通新聞社