建設経済研究所と経済調査会は、2024年度の建設投資を名目値ベースで74兆3500億円、実質値ベースで59兆6760億円とし、いずれも「前年度比で微増」するとの予測をまとめた。政府分野投資が底堅く推移することに加え、建築補修(改装・改修)が大幅に増加すると想定。建設コストの高止まりがあっても、名目値だけでなく実質値を含めて増加するとした。
24年度の建設投資は名目値で2・8%増、15年度を基準とした実質値で1・5%増とした。能登半島地震やマイナス金利解除が与える影響は「否定できない」としつつ、現時点では限定的と見ている。時間外労働規制については、ゼネコンが適用を織り込んだ人員配置を行っているとして、工期などへの影響は今後現れるとしている。
政府分野投資は、国・地方の24年度当初予算が前年度並みに確保されているため、公共事業に関する投資は底堅く推移することを想定。名目値は23兆6400億円(1・5%増)、実質値は19兆2245億円(1・1%増)を見込み、ともに微増するとした。
民間住宅投資は建設コストの上昇が住宅需要を抑制する状況が続き、新設住宅着工戸数は81万戸(0・7%増)で前年度と同水準になるとした。投資額は名目値が17兆3200億円(1・6%増)の微増、実質値が13兆8756億円(0・3%増)で前年度と同水準になると予測した。
民間非住宅建設投資は、企業の設備投資意欲は堅調なものの、コスト高もあって実際の建設投資には慎重になっていると分析。着工床面積は3980万平方bで、前年度の大幅減の反動で2・1%の微増と予測するも、16年度以降では最低水準だとした。投資額は名目値で19兆1300億円(1・2%増)の微増、実質値で15兆3135億円(0・2%減)の同水準とした。
民間非住宅の種類別では、事務所と店舗は低水準な一方、工場は半導体関連やEV関連の誘致もあって持ち直しの動きが見られるとした。
建築補修は名目値が14兆2600億円(8・8%増)、実質値が11兆2624億円(6・4%増)と予測し、いずれも前年度を大きく上回るとした。建築のコスト上昇を受け、新築から改修に需要が移行している可能性もあると見ている。
提供:建通新聞社