国土交通省は、総合評価落札方式を適用して2022年度以降に契約した直轄業務について、競争参加者の賃上げ表明の状況をまとめた。2023年度上半期の競争参加者のうち賃上げを表明した割合は83%で、前年度通期の71%を大きく上回った。落札者に占める割合は23年度上半期、22年度通期ともに約9割だった。
賃上げ実施企業については、22年4月1日以降に契約を締結した全ての業務が加点措置の対象となった。事業年度または暦年単位で、大企業であれば3%、中小企業であれば1・5%以上の賃上げを表明した入札参加者を総合評価落札方式で加点。賃上げを表明し、落札した企業に対しては決算書などで達成状況を確認し、未達成の場合はその後の調達で減点するペナルティーを科すとしている。
加点措置を開始した22年度には、4496件の直轄業務が対象になった。重複を除いた実競争参加者数は1172者で、このうち賃上げを表明したのは837者(71%)だった。一方、実落札者数は638者で、このうち賃上げ表明者は540者(85%)となった。
業種別では、土木コンサルの80%をはじめ、測量、地質調査、補償コンサルのいずれも70%かそれ以上だったのに対し、建築コンサルのみ28%と低水準だった。
23年度上半期は5125件の直轄業務で賃上げに対する総合評価での加点を適用。実競争参加者数は1166者で、このうち賃上げを表明したのは972者(83%)となり、表明率は22年度よりも12ポイント上昇した。実落札者数は704者で、このうち賃上げ表明者は623者(89%)となり、落札者に占める割合は22年度から4ポイントと小幅の上昇だった。
23年度上半期の競争参加者を業種別に見ると、補償コンサルの賃上げ表明率が92%で最も高かった。土木コンサル、測量、地質調査はいずれも85%前後で、前年度よりも高い水準となった。建築コンサルの表明率は63%で、他業種よりは低い水準だったものの、前年度からは35ポイントの大幅アップとなった。
提供:建通新聞社