国土交通省は、直轄業務を総合評価落札方式で発注する際、一部の地方整備局に限って試行していた3類型の発注手法を4月から全国展開する。対象は、手続きの効率化に向けた「技術提案簡素化型」と、地域企業の育成を目的とした「地域貢献度評価型」、若手・女性技術者を育成するための「配置加点型」。試行的な取り組みを全国展開するのは、業務では初めて。
調査・設計業務の委託では、担い手確保・育成などを目的として多様な発注手法を取り入れている。これらの手法による効果を整理・検証し、今回、全国展開の対象を決めた。全国での試行により適用件数を増やし、さらなる試行と検証の後は標準化も視野に入れる。
技術提案簡素化型は、技術提案書に記載する実施方針や提案内容を簡素化するもので、これまでに5地整で2203件を試行した。22年度のアンケートでは受注者の9割、発注者の6割が効果を実感していた。
地域貢献度評価型は、災害協定の締結や災害時の活動実績を評価し、地域企業の技術力向上、参入機会確保につなげる。4地整で1889件を試行しており、地域企業の受注率がその他の業務と比べて高いことが確認された。
配置加点型は、配置技術者の年齢が一定以下だったり、女性を配置する場合に加点する。7地整で819件を試行しており、45歳未満の技術者が増えるなどの効果が確認された。プロポーザル方式については引き続き試行が必要とされた。
いずれの発注手法も、政策的な目的を達成していた他、試行対象外と比べて業務成績がおおむね同等かそれ以上だったことを確認した。
これらの試行3種を含め、国交省では12種の発注手法の効果や成果品質を検証した。今後も引き続き取り組み状況を分析し、効果の程度や課題の有無を調べる。結果に応じて、5年ごとを基本に試行の標準化や継続調査、見直し・廃止といった対応を決める。
提供:建通新聞社