厚生労働省は、建設業の安全衛生対策についての留意事項をまとめ、関係省庁や建設業団体に通知した。全産業の中で依然として多い建設業の死亡災害と労働災害を減らすため、墜落・転落防止対策やメンタルヘルス対策など、事業者が現場で実施すべき安全衛生対策をまとめた。16項目を設定した「安全確保のための対策」として、新たに山岳トンネル工事を盛り込んだ他、能登半島地震の復旧・復興工事の安全対策にも言及した。
墜落・転落防止対策については、23年に改正された安衛則(足場関係)に基づく措置を適切に講じる。墜落・転落の死傷者数の約3割を占めるはしご・脚立からの墜落・転落の低減に向け、木造家屋などの低層住宅建築工事でははしご・脚立の使用をできるだけ避け、移動式足場や高所作業者を使うことを推奨。墜落制止用器具の使用の徹底も求めた。
能登半島地震をはじめとする自然災害の復旧・復興工事では、厚労省が安全衛生パトロールや巡回指導などを行うと明記。事業者に対しては、短期間に集中することが、労働災害を引き超すリスク要因となることも認識するよう求めている。
また、山岳トンネル工事における安全対策を新たに記載。鏡吹付や切羽への立ち入り禁止措置などによる肌落ち災害の防止を推進する。
この他、技術の進展や就業形態の多様化などが進む中、安全衛生水準の向上のために適切で有効な安全衛生教育が重要だと示し、労働者への教育に加え、建設工事従事者の知識や能力の維持向上のための再教育も必要だと追記している。
提供:建通新聞社