国土交通省は、工事の監督・検査に用いるデータを一括して扱うICTプラットフォーム(仮称)の試行結果をまとめた。工程管理と出来形管理の両面で、受発注者のそれぞれ8割以上が負担を軽減できたことを確認。24年度は試行をさらに拡大し、システムの仕様検討、開発に生かす。
現行の直轄工事では、打ち合わせ簿・出来形管理表などは情報共有システム(ASP)、3次元点群データやBIM/CIMモデルなどはクラウドサービスを介して受発注者でやり取りしている。受注者ごとに異なるシステムを契約しているため、発注者側からのアクセスが複雑になる他、納品されたデータを活用する際の障壁にもなっていた。
ICTプラットフォームは、受注者側のASPやクラウドサービスから情報を受け取り、発注者が一元的に取り扱うための基盤として構想。現場の監督・検査に用いるデータのペーパーレス化、オンライン化を進め、施工後の維持管理段階でもデータを有効活用する。
23年度は、ICTプラットフォームのプロトタイプを全国8地方整備局の計57工事で試行。週間工程会議での工程表の作成から提出、立会調整などに利用したところ、発注者側の85%、受注者側の84%が省力化に「効果があった」と回答した。発注者からは特にスケジュール確認の効率化、受注者からは工程表の送付が不要になる点が評価された。
これに加え、近畿、四国、九州の3地整では出来形情報のリアルタイム共有・確認を試行したところ、発注者の89%、受注者の91%が「効果があった」とした。工事の進捗(しんちょく)に応じたリアルタイムでの出来形データ共有により、確認を効率化できる点が受発注者双方から評価された。
24年度以降は、建設業や建設関連業の団体、研究機関、国交省で構成するICT導入協議会で、試行結果を踏まえてプラットフォームの仕様を検討する。並行して試行を拡大し、システム開発を進める。
提供:建通新聞社