経済調査会は、工事受注と労務需給の状況に関する四半期ごとのアンケート調査結果をまとめた。労務需給は全国的に不足感が強く、建設・設備関係では、震災のあった金沢や再開発が進む福岡の先行き(3カ月から6カ月後)に労務逼迫(ひっぱく)の懸念がある。土木工事関係の需給状況は、全12職種で「やや不足」となった。 受注状況と労務需給について、それぞれ「減少」「やや減少」「不変」「やや増加」「増加」の5段階で現況と先行きを聞いた。調査時期は1月から2月。
建設・設備関係の工事受注状況を都市別に見ると、名古屋の公共工事と金沢の公共工事・民間工事の受注が増加した。
建築・設備関係の労務需給状況を都市別に見ると、半導体工場建設の関連工事や新幹線の整備工事などの大型プロジェクトがある札幌地区をはじめ、能登半島地震のあった金沢地区、再開発が進む福岡地区の先行きに労務逼迫の懸念がある。
建築・設備関係の労務需給状況の工種別全国平均では、鉄筋・型枠・鉄骨・左官・設備工事で全体的に労務の不足感が強い。
土木工事関係の工事受注状況を地区別に見ると、北海道は前回調査から全9工事のうち4工事で「やや減少」から「不変」となり、全ての工事が「不変」となった。一方、宮城と香川は全工事で「やや減少」となった。
土木工事関係の工事受注状況の職種別全国平均では、9工事中6工事で「やや減少」し、3工事が「不変」となった。前回調査から「やや減少」が1工事減り、「不変」が1工事増えた。
土木工事関係の労務需給状況の「現況」を地区別に見ると、新潟が4職種で「均衡」となり、需給状況が改善した。型枠工と交通誘導員は「不足」が4地区から2地区に減少した。
土木工事関係の労務需給状況の職種別全国平均では、「現況」「先行き」ともに全12職種で「やや不足」となった。
これらの結果から、同会では「地域によって繁閑差があるが、民間工事では着工延期なども見られており、全般的に労務不足にある環境が続いている。」とし、「土木では、工事受注は前年度調査と比べてほぼ横ばいで、労務不足の状況は続いている。」と現状をまとめた。
今後の動向として「時間外労働時間規制が本施行となる2024年度は更に顕著になる可能性も高く、引き続き注目する必要がある」と述べた。
提供:建通新聞社