厚生労働省は、労働安全衛生法に基づいて建設現場などで労働者に課している立ち入り禁止措置を個人事業者(一人親方)にも適用する。2021年に出た建設アスベスト訴訟の判決を踏まえ、雇われて働く労働者でなくとも、同じ場所で働いていれば同様に保護することを明確化する。
このため、労働安全衛生規則の一部を改正する省令案をまとめた。3月下旬に公布し、25年4月に施行する。
建設アスベスト訴訟では、石綿暴露による健康障害からの保護措置を労働者のみに限定していたことが問題視された。このため、石綿に関わる作業に従事する個人事業者については既に、労働者と同様の保護措置を講じるよう求める改正省令が施行されている。
今回の省令案では、機械器具や爆発物、電気・熱、掘削・砕石、伐木といった作業に関連した措置を規定。危険防止のための立ち入り禁止や、災害発生時の退避といった措置を、労働者だけでなく個人事業者にも適用する。
現行の安衛則で労働者に順守義務を課している措置については、個人事業者に対しても同様に、罰則なしの義務を課す。
立ち入り禁止以外に、特定の作業方法を求めたり、保護具をの使用を求めたりする規定については、個人事業者の災害実態を踏まえ、改正の必要性を精査する。必要に応じて、事業者が労働者以外にも周知すべき内容を通達で明確化する。
提供:建通新聞社