国土交通省は、道路の定期点検要領の改定案をまとめた。点検の質を高めるため、構造物の状態に関する推定や、次回の点検までの想定といった「性能の見立て」を記録の対象に追加する。点検者の総合的な所見を記録できるようにする。3月中旬までに橋梁、トンネル、シェッドなどの定期点検要領の改定を自治体に通知する。
5年に1回の近接目視による道路構造物の定期点検は、2014年度に始まった。24年度から3巡目を迎えるに当たり、点検の高度化・合理化を社会資本整備審議会道路分科会の小委員会で議論。19日の会議で改定案を示した。
今後は、性能の見立てを適切に行える人材の確保に向けてさらに議論を重ねる。点検要領の改定を踏まえて、点検に関わる国交省登録技術資格の認定要件を見直したり、点検計画策定ノウハウを共有したりすることを検討する。
自治体支援も手厚くする。自治体が修繕計画の策定でアセットマネジメントを行えるような標準的なデータの仕様を提供する。道路橋については、材料や部材ごとに安全性、耐久性を推定するのに必要な情報の項目を示すことで、点検の質にばらつきが出るのを防ぐ。
23年10〜11月に自治体に行ったアンケートでは、自治体全体の4割程度が国の点検要領に準拠していることが分かった。一方、特に橋梁に関しては都道府県の6割超が独自の点検要領を定めていた。
提供:建通新聞社