中小企業庁が2023年10〜11月に行った調査によると、労務費や燃料代、資材などのコスト上昇を受け、直近6カ月間で発注者や元請け、下請けとの価格交渉を行った建設業者は59・3%だった。このうち20・1%は発注側(発注者、元請け、上位下請け)から交渉を申し入れた。残る39・2%は受注側からの申し出で交渉を行った。
建設業を含めた中小企業にコストの上昇や、発注側企業との価格交渉、転嫁の状況について質問した。下請けGメンによるヒアリングも行った。
建設業の直近6カ月の価格交渉の状況を見ると、コストが上昇したものの、受注側で価格交渉は不要と判断し、交渉を申し出なかった企業が16・5%あった。
コストは上昇したが、発注側の企業から申し入れはなく、発注減少や取引停止を恐れて交渉を申し出なかった受注側企業も5・2%あった。
コストは上昇し発注側から申し入れがなく、受注側から交渉を申し入れても応じてもらえなかった企業は2・6%だった。
直近6カ月間に、建設業が実際にどれだけ価格転嫁できたかを見ると、コスト上昇分の「10割」を転嫁できたのは15・4%。一方、全く転嫁できない「ゼロ割」は16・3%だった。転嫁率が「マイナス」の企業も2・8%あった。「コストが上昇せず、価格転嫁不要」の企業は15%。
下請けGメンによるヒアリングでは、「労務費も含めて、要望通りの値上げを認めてもらった」との声が寄せられた。その一方、交渉を行っても「5年前からの単価と変わらず、全く値上げに応じてもらえていない」という企業もあった。
提供:建通新聞社