国土交通省は、直轄工事での構造物の出来形管理で、3次元点群データなどのICTを活用した測定方法を本格的に導入するため、2023年度末までに実施要領を策定する。ICTを活用した出来形管理により工事書類のデジタル化を促進し、現場作業の軽減を目指す。インフラ分野のDXアクションプラン(第2版)の中で、今後取り組むべき個別施策としても位置付けている。
対象とする構造物は、ICT施工による橋脚・橋台、橋梁上部・基礎などの工事。本年度中に現場実証を済ませ、実証結果を踏まえ、実施要領をまとめる。将来的には、建設現場の監督・検査に用いるデータ・情報を一括して収納する「ICTプラットフォーム」との連携も進め、3次元点群データを活用した出来形管理の一層の効率化につなげる。
これにより施工者側では、出来形管理の測定作業の効率化を実現できる他、関連帳票の自動作成なども可能になる。さらに、高所での計測作業が不要となるため、現場作業員らの安全性、作業環境の改善にも役立つとしている。
例えば、橋脚の出来形管理では、これまで現場作業員が専用のロッドやリボンテープを使って、現地で直接計測していた。足場を組む必要もあり、高所作業を余儀なくされていた。
そこで、構造物をTLS(地上設置型3次元レーザースキャナー)やUAV(ドローン)で測定し、3次元点群データを活用した出来形管理を標準化することで、現場作業の省力化・効率化につなげる。
ICTプラットフォームについては、昨年度までに四国地方整備局で試行してきたプロトタイプを、今後、東北、関東、近畿、中部、北陸、四国、中国、九州の8地方整備局にも広げる。24年度以降に、プロトタイプで出来形情報を連携するための試行を拡大。試行結果を踏まえ、24年度から本システムの開発に着手し、段階的に本運用を目指すこととしている。
提供:建通新聞社