2023/10/31
全国建設業協会地域懇談会・ブロック会議(2)九州
九州建設業協会(会長・藤田護鹿児島県建設業協会会長)は11日、国土交通省や内閣府沖縄総合事務局、九州各県の代表者との定例懇談会を佐賀市で行った=写真。経営事項審査での前払金の取扱い見直しや、資材高騰などついて意見を交わした上で、地域建設業の適正利潤の確保に向けた3項目を決議、全国建設業協会に対し、政府・与党への積極的な働きかけを求めた。
藤田会長は、国土強靭化実施中期計画の早期策定と、十分な事業量の確保を求めた上で、「地域の建設企業が適切な利潤を確保し、若者にとって経済的にも魅力ある産業になることで、担い手の入職促進と技術の継承が図られる」と訴えた。
国土交通省大臣官房の蒔苗浩司審議官も、「受発注者が気持ちを一つにし、魅力的産業に生まれ変わるよう努力することが重要」と応え、来年度予算の概算要求でも、安定雇用や人材確保に向け、予算・事業量の確保に取り組んでいるとした。
今回の懇談テーマは、経審での前払金の取扱い見直しと、週休二日・時間外労働上限規制への対応、資材高騰の設計単価への反映の3点。このうち前払金については、九州建協側が、決算期末時点で前払い金を受けた工事が未完成の場合、経営状況分析の「負債回転期間」で、負債としてマイナス評価を受ける現状を指摘。前払金は、工事完成までの経過勘定で純粋な負債とは言えないと主張し、経審の経営状況分析の▽指標・計算式の見直し▽負債回転期間指標の構成要素から公共工事の前払い金の控除・除外―の検討を求めた。
国交省側は、前払金と経審の趣旨を勘案しつつ、実際の評定値への影響など、現場や会社の実例を聞いた上で、どのような対応が必要か検討したいと応えた。
週休二日や資材高騰については、国や各県・政令市の取組状況を確認するとともに、市町村への対応拡充などについて話し合った。
九州建協は、これらの懇談を経て、▽国土強靭化実施中期計画の策定と公共事業予算の持続的な増額確保、公共投資の減少が著しい九州沖縄地方への重点配分▽地方の建設業が適正利潤を確保し、一層の経営基盤を強化できるよう、低入札調査基準価格の算定式見直しによる引き上げなど追加的支援措置の策定▽働き方改革実現に向けた実効性ある対策の確立、設計労務単価・諸経費の引き上げ―を決議した。
(地方建設専門紙の会・建設新聞社/佐賀)