財務省は、国の財政制度を議論する審議会の分科会で、国土強靱(きょうじん)化をはじめとした公共事業について、今後の人口減少を踏まえて整備着手の可否や内容を判断するよう注文した。
分科会では、近年の防災・減災、国土強靱化の取り組みについて、河川氾濫の発生数が大幅に減るなど、一定の成果が出ていると評価した。その上で、今後50年間で日本の人口は約3割減るとともに、人の居住がない地域が拡大するとの推計を提示し、こうした将来像を考慮したハード事業を求めた。
具体的には、新規事業化段階での事業評価に際し、より人口減少を踏まえた形で費用対効果を算出するよう注文した。また、国土強靱化事業について、被害抑制の目標設定に当たり、人口減少を考慮に入れて必要なインフラを判断する必要があるとした。
一方で、災害リスクの高い浸水想定区域内で人口が増加している地域があることを指摘。32の都道府県でこうした傾向が見られたといい、3月時点で全自治体の4割程度にとどまっている立地適正化計画の策定を一層後押しする必要があるとした。居住誘導区域内に浸水想定区域が含まれるケースもあるとし、検証を求めた。
ハード整備と土地利用規制を組み合わせることで、防災・減災効果をさらに高めることが有効だとした。
提供:建通新聞社