日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)が女性活躍推進に関して会員にフォローアップアンケートを行ったところ、技術者に占める女性の割合は、2022年度は8・2%で、5・9%だった18年度と比べ、3年間で2・3ポイントアップした。一方、女性用トイレや更衣室の現場への設置は増えているものの、トイレの設置率は72・0%、更衣室は49・3%にとどまった。日建連では、取り組みをさらに進めるため、12月から推進体制を再構築する。
日建連では、19年度に「けんせつ小町活躍推進計画(20〜24年度)」を策定。女性の定着・活躍・入職の三つの支援をテーマに活動を展開している。
同計画による24年度の目標のうち女性技術者比率の目標値は10%。これについては順調に増加しており、目標を達成する見通し。
一方、女性用トイレと更衣室の設置率の24年度の目標は100%。トイレの設置率は45・0%だった18年と比べ、22年度は27・0ポイントアップして72・0%になった。更衣室の設置率は31・0%から49・3%に増えた。しかし、直近1年間では、いずれも数ポイントのアップにとどまっており、24年度での100%達成は厳しい見通しだ。
また、女性管理職の人数は18年度の1・2倍の1731人に増えた。24年度の目標は18年度の1・5倍の2100人となっており、達成は微妙な状況。
社員の10年以上の雇用率は男性が63・6%、女性が68・0%で、女性の方が4・4ポイント定着率が高かった。女性技術職の平均勤続年数は6・6年で、前年度より0・2年減った。これについては、女性の新卒採用の拡大などが影響したとしている。
「けんせつ小町活躍推進計画」を踏まえ計画策定を行っている会員企業は約半数の47・1%だった。計画を策定している会員のうち82・9%が定量的な目標や実施時期を明示していた。一方、明確な推進体制(組織)や担当(役員)を整備している会員は全体の31・0%にとどまった。
日建連では、24年度までの現行計画の計画期間が1年半を切り、改めて取り組みを加速する。また、当初は女性活躍を課題に計画をスタートしたが、多様な人材が能力を発揮できるDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)が社会的要請になっていることに対応し、けんせつ小町委員会の専門部会などの体制を、12月1日付で再構築する。新たに設ける専門部会は「定着支援」「活躍支援」「入職支援」の3部会。
新体制で事業計画や実施計画を見直し、25年度以降の計画についても24年度中に策定する。
会員企業に対しても、具体的な計画の策定・実行や、推進体制と担当(役員)の明確化を求めることとし、これまでに依頼状を発出した。
24年2月27日には、関連イベントとして「けんせつ小町フォーラム」を開催する予定。
宮本会長は「建設業はもともと女性が少なく、女性技術者の比率が10%を達成しても、そこで満足はできない。女性が入職しやすい環境整備など、女性活躍推進に改めて取り組みたい」と話している。
提供:建通新聞社