国土交通省は、建設作業員の身体的負荷を軽減するため、パワーアシストスーツ(PAS)、視覚拡張(XR)、ドローン(UAV)の三つの技術について、現場実装に向けたロードマップをまとめた。PASについては、技術の開発状況調査などを進めながら、2024年度から直轄工事で実証を始め、25年度にも導入ガイドラインを策定する。
PASは、工場や倉庫作業などでの負担軽減技術として、製造、物流分野で活用が進んでいる。国交省では、他分野での活用事例を参考に、昨年度までに直轄工事でPASの有効性を検証。その結果を「パワーアシストスーツ現場検証事例集」にまとめ、現場での苦渋作業軽減対策の参考としてもらえるようホームページで公表している。今後、直轄工事で適用する工種を絞り込んでいくため、実証を進める。
XRは、作業員が専用のゴーグルを装着すると、実現場の画像に作業手順が映し出されるような視覚の補助技術などの導入を想定する。若手技術者に不足している経験や技能を補うことができるという。23年度中に現場適用への課題を整理し、25年度の現場実証を目指す。
ドローンについては、長時間飛行が可能な機体を実用化することで、災害時の現場確認や平時の巡視活動に役立てる。23〜24年度に実証実験を行い、25年度にも技術カタログや現場活用ガイドラインを策定する。
国交省では、さらなる働き方改革の推進と生産性向上を目指し、PASを活用した建設作業員の身体的負荷軽減を検討してきた。時間外労働の上限規制が建設業にも適用される24年4月を控え、建設現場で一層の生産性向上が求められていることを受けて、PASと併せて、XR、UAVの活用に関する調査・検討も行うこととした。
これに伴い今夏に、PASに限定していた「建設施工におけるパワーアシストスーツ導入に関するワーキンググループ(WG)」を発展的に解消し、新たに「建設施工における現場作業者支援のDXに関するWG」を設置。各技術の現場実装へロードマップを示した。
提供:建通新聞社