外国人技能実習制度の見直しに向けた政府の有識者会議は10月18日、提言案を示した。転籍については、同一受け入れ企業での就労が1年間を超えていることなどを要件に、本人の意向による転籍を受け入れるべきとした。特定技能制度の入口という性格を明確化し、基本的に3年間の就労を通じて特定技能1号の技能水準の人材を育成する。特定技能と同様に受け入れ対象とする産業分野と受け入れ見込み数も定める。
現行の技能実習制度を「発展的に解消」し、人手不足分野の人材確保、育成を目的とする新たな制度を創設することを提言。技能実習生の不法な長時間労働など、これまで指摘されてきた課題を解消し、労働者としての位置付けを明確にする。特定産業分野は特定技能制度と一致させ、制度間に整合性を持たせる。特定技能制度については、優良な受け入れ企業に対する申請書類簡素化など、一定の適正化を施した上で引き続き存続させる。
制度見直しの焦点の一つだった、本人の意向による転籍については▽同一受け入れ企業での就労期間が1年超▽技能検定(基礎級)と日本語能力A1相当以上の試験に合格―を要件として認める。現行制度でも認められている「やむを得ない事情がある場合」の転籍についても、範囲を拡大・明確化するとした。
本人意向による転籍の場合は、初期費用について転籍元と転籍先の受け入れ企業で分担する仕組みをつくるとの方向性を示した。
外国人技能実習機構は改組し、受け入れ企業に対する監督指導や外国人の支援・保護機能を強化する。労働基準監督署との間での相互通報も強化する。新制度でも監理団体を置き、許可要件を厳格化するとともに、相談体制を強化。外国人の転籍支援なども担う。
新制度で育成した外国人は、▽技能検定3級以上または特定技能1号評価試験への合格▽日本語能力A2相当以上の試験への合格―を条件として特定技能1号への移行を認める。
新制度の移行に当たっては、十分な期間を確保することも提言した。既に社会に浸透し、活用が進んでいることを踏まえ、関係者・機関に十分な広報、配慮を求めた。
提供:建通新聞社