国土交通省は、地域建設業が抱えている災害対応時の課題について、実態把握のための調査を始めた。資機材の保有状況や連絡体制、出動時の人員確保などに関わる課題を、災害対応の事例ごとに洗い出す。実態調査は元請けと下請け団体に依頼済み。回答期限は11月10日。年内に回答結果を集計し、年明けから傾向の実態の把握・分析を進める。効率的な災害対応の妨げとなるボトルネックを探り、改善につなげる。
実態調査は、建設技術研究所に委託し実施する。ウェブアンケート方式により、全国建設業協会、全国中小建設業協会、建設産業専門団体連合会と、各団体の会員企業から回答を募る。主な設問項目は、▽事業継続計画(BCP)策定状況▽災害対応の実績▽協定に基づいて備蓄・提供が可能な資機材▽待機・体制確保時、出動時、巡回・パトロール時の課題▽災害対応で活用できる技術・情報ツール▽好事例―など。一部の設問は、災害対応の事例ごとに集計・分析する。
災害対応の事例は、「災害協定に基づく災害対応」「行政機関との維持工事契約に基づく災害対応」「被災地の近接の受注工事に基づく災害対応」「災害協定を結んでいない行政機関の要請に基づく災害対応」「行政機関からの要請なく自主判断による災害対応」「いずれの災害対応も実績なし」を設定している。
国交省は、調査結果を踏まえ、地域建設業の効果的な災害対応を阻害する課題・ボトルネックを洗い出すとともに、好事例も含めた現場の実態を把握する。必要な場合、2024年度にも課題・ボトルネックの深掘り調査を実施していきたいとしている。
建設業の災害対応に関しては、災害現場で復旧作業などに携わった地域の建設会社などから、より効果的・効率的に活躍できる環境整備を求める声が上がっていた。また近年、ゲリラ豪雨など自然災害が激甚・頻発化する中、災害現場いいち早く駆け付け、応急・復旧活動を担う地域の建設会社の重要性が増している。地域建設業の災害対応時の課題意識を調査することで、各社・各団体がより効果的・効率的に活躍できる環境の整備につなげる。
提供:建通新聞社