足立敏之参院議員は建設専門紙との懇談で、スイスのライン川とその支川を対象として9月に行った「欧州近自然川づくり調査」を受け、自然環境に配慮した川づくりの大切さを改めて実感したとの所感を述べた。こうした取り組み事例が、今後の流域治水のヒントになるとの考えも示した。
調査には、団長の辻本哲郎名古屋大学名誉教授をはじめ、中村太士北海道大学大学院教授、池内幸司東京大学名誉教授ら学識者も参加した。スイスのチューリッヒ近郊のライン川と、その支川などを訪れた。中洲の構造物による再自然化や、護岸除去・高水敷撤去による再自然化、高速道路を用いた多重防御・遊砂地による土石流対策などの現場を見て回った。
足立議員は、「日本でも多自然型の川づくりを進めているが、災害が増える中で、環境に対する意識が後退しているようにも思う」と指摘。「強靱(きょうじん)化や流域治水を進める一方で、日本の河川環境政策についての議論も活発にしていく必要がある」とした。
1997年の河川法改正で、河川環境の整備と保全も目標に加わったことについては「画期的な改正だった」と評価。その一方で、「河川行政に携わる、特に若い人たちが河川環境政策について深く考えなくなった気がする」と提起。「欧州の事例が全て日本に導入できる取り組みではないかもしれないが、これからの流域治水では発想の転換が必要になる。その際のヒントにしてほしい」と注文した。
提供:建通新聞社