環境省は、国・独立行政法人が発注する建築関連の工事・業務で、環境に配慮した契約方式の採用を促すため、発注者向けにチェックリストを作成する。温室効果ガスの削減など、工夫の余地の有無を発注者が自ら確認できるようにし、環境に配慮した契約の導入を後押しする。
対象とする契約内容は、建築の維持管理や設計、改修を想定。建築設計での環境配慮型プロポーザル方式をはじめ、環境への配慮を評価する契約方式の導入を促す。環境配慮契約の実施状況を調べたところ、未導入の理由として「温室効果ガスの排出削減の工夫の余地がない」ことを挙げる例が多かったという。このため、工夫の余地の有無を確認できるようなチェック用フロー図とチェックリストを作成し、発注者に提供する。
この他、特に建築物の維持管理を対象とした環境配慮契約の実施率を上げる方策としては、環境配慮の先進事例など、有効な事例を収集・整理し、2024年度から発注者に提供する。また、施設の規模や業務内容、契約方式に応じた入札参加資格の設定、評価項目の例示なども予定している。複数年契約方式や複数施設の一括発注を検討することも推奨する。
さらに、24年度からは、建築の用途ごとに、面積当たりのエネルギー消費量・温室効果ガス排出量のベンチマーク指標の公表を開始する。施設・組織ごとにエネ消費量などを把握してもらい、排出量削減に向けて建築の運用改善を促す。具体的には、適切な保守・点検などの他、設備導入・更新も想定している。
建築の設計に着目すると、22年度に環境配慮型プロポーザル方式を取り入れたのは適用可能な業務全体の77・5%。前年度からは2・0ポイント低下したものの、20年度までと比較して高い水準を維持している。チェックリスト以外の取り組みでは、環境配慮に関連した技術提案テーマを解説資料にまとめる。
建築物の改修では、引き続きESCO事業を推進する他、データ活用の徹底を促す。
提供:建通新聞社