2023/10/24
全国建設業協会地域懇談会・ブロック会議(1)関東甲信越
全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)と国土交通省は10月4日、関東甲信越地方ブロック会議を東京・大手町の経団連会館で開いた。全建傘下の同ブロックの建設業協会が、2024年4月から建設業にも適用される時間外労働上限規制への対応や担い手確保対策、総合評価落札方式での賃上げ加点措置などに関して要望を行い、国交省の幹部と意見を交わした。全建と国交省は同日の会議を皮切りに、10月末までに全国9カ所で地域懇談会・ブロック会議を開く。
時間外労働上限規制への対応では、群馬県建設業協会が、工期や工事書類の最適化に取り組むとともに、「それでも厳しい場合は『書類作成工期』を設定してほしい」と訴えた。さらに作業を前倒しで進める「フロントローディング」や、設計図書の精度向上などを要望した。
国交省側は、書類作成の負担など実態を把握しながら対策を検討していく考えを示した。
また、神奈川県建設業協会が、上限規制や週休2日に対応するには、補助の技術者の増員や、現場業務をサポートする人材活用が必要だと指摘。現場管理費について、抜本的な積算基準の見直しを提案した。
担い手確保に関しては、新潟県建設業協会が、会員の技術者・技能者がピーク時と比べ半減する一方、県内工業高校の土木科卒業生のうち県内建設業への就職者が14%にとどまっている現状を説明。働き方改革が重要だとして、▽週休2日の労務単価の補正係数の引き上げ▽男性の育児休業取得促進に向けた、監理技術者専任制度における技術者の一時不在や交替に関する要件緩和―などを求めた。
また、千葉県建設業協会が担い手確保に関して、さらなる労務単価の引き上げが必要だと訴えた。
総合評価落札方式での賃上げ加点措置については栃木県建設業協会が要望。地域建設業では、1件の受注の可否が賃上げの履行に大きく影響することなどを指摘し、事後評価方式への改正や、減点制度の廃止、1度の賃上げによる複数年評価を提案した。
国交省側は、関係省庁と連携して対応を検討するとともに、運用面でも柔軟な取り組みを考えていく方針を示した。
このほか、長野県建設業協会が「公共事業予算の持続的・安定的な確保と、大規模災害に備えた防災・減災対策の推進」、山梨県建設業協会が「国・県との災害協定に基づく災害応急復旧活動での事故への救済措置」、茨城県建設業協会が「小規模土工工事におけるICT活用の推進」、埼玉県建設業協会が「改正品確法の市町村への徹底」を要望した。
[災害対応力の強化を]
同日の会議では冒頭、関東甲信越地方建設業協会長会の青柳剛会長(群馬県建設業協会会長)が、建設業が直面している課題について、「人材育成と生産性の向上、そして災害対応組織力の強化の3点に集約される」と訴えた。
一方、国交省不動産・建設経済局の塩見英之局長が、建設業の働き方改革や技能者の年収アップなどの課題に触れ、「建設業と気持ちを一つにして、若者に魅力的な業界となるよう取り組みたい」と述べた。
関東地方整備局の藤巻浩之局長も、「建設業の生産性向上と働き方改革、その先にある新4Kを実現したい」と呼び掛けた。
また、全建の奥村会長は「地域建設業が『地域の守り手』として安定した経営基盤を築いていくためには、社会資本整備の着実な推進」が不可欠だと強調した。