厚生労働省は、労働者が改めて能力開発に取り組む「リスキリング」を後押しするため、教育訓練中の生活を支える新たな給付や融資制度の創設を検討する。これまでの教育訓練給付では企業を経由して在職者を支援していたが、個人を対象とした給付が可能になるようにする。10月3日に開いた労働政策審議会の雇用保険部会で本格的な議論を開始した。
教育訓練給付は、労働者の主体的な能力開発を支援するため、雇用保険の一環で行っている。被保険者か、離職後原則1年以内の者を対象に、国が指定する訓練を受講・修了すると費用の一部を支給する。
施工管理技士や電気主任技術者などの技術者資格、建設業経理士などの事務関係資格、車両系建設機械の運転技能講習をはじめ、建設関係でも幅広い資格・講座が給付の対象となっている。
政府は労働市場改革の一環で、在職中の労働者のリスキリングに対する支援を強化する方針を表明。能力開発を通じて労働者の賃上げを促進する考えだ。
一方、厚労省のアンケート調査では、労働者の時間的な余裕のなさが、能力開発を阻む課題となっていることが分かった。教育訓練に伴う休暇制度を導入している企業は全体の1割に満たず、制度があっても利用する者も少ないことから、教育訓練給付による支援の仕組みを検討することにした。
具体的には、求職者だけでなく、在職中の者についても訓練期間中の生活を支える給付・融資の仕組みを考える。10月3日の会議では、制度設計に向けて対象者や要件、内容を論点に挙げた。
提供:建通新聞社